イエメンは、アラビア半島の最南端にある共和制の国で、エチオピアと並び古くからコーヒー栽培が行われている国です。

また、イエメンにあるモカ港こそが、世界で初めて商業目的でコーヒー豆を世界中に向けて輸出した港でもあります。

このようにコーヒー豆の歴史はモカ港のあるイエメンから広まっていったとも言えるのです。

そこで今回は、イエメンコーヒーの特徴と銘柄一覧についてお話していきます。

イエメンコーヒーの歴史

コーヒーの歴史の始まりについては主に2つの伝説があり、1つはエチオピアの6世紀に始まったとされる「ヤギ飼いのカルディの話」で、もう一つはイエメンの13世紀に始まったとされる「オマール僧侶の話」です。

このイエメンのオマール僧侶の伝説では、イスラム教の僧侶であるオマールが、領主の娘に恋をしたことにより、領主により町からオウサバ山(イエメン)へ追放されてしまいました。

その後、山中で一羽の鳥が赤い実をついばんでいるのを見て、飢えていたオマールはその赤い実を煮出して飲んでみたところ、飢えだけでなく疲労までも回復しました。

オマールはこの不思議な赤い実の煮汁を、病気で苦しんでいる人々に与えていきました。そして、町と人々を救うことにつながりました。この町こそが、後のコーヒー豆の輸出港となる「モカ」であり、コーヒー発祥の地とされています。そして、オマールは「モカの守護聖人」と呼ばれました。

その後、当分の間栽培はされていませんでしたが、15世紀になってイエメンの山岳地帯でコーヒーノキの栽培が始まりました。この時こそ、世界で初めて商業的なコーヒー栽培が始まったのです。つまり、世界で初めてコーヒー栽培を始めた国は、イエメンなのです。

その後、1628年にオランダ人が「モカ港」でコーヒー豆を買ってヨーロッパに持ち込んだことから、コーヒーがヨーロッパ諸国に渡っていきました。このように、イエメンはコーヒーの歴史を世界中に広げたとても重要な国なのです。

また、「モカ港」から輸出された、エチオピア産とイエメン産のコーヒー豆だけを「モカ」と呼びます。

この「モカ」は共にアラビカ種で、イエメン産は丸めなので「ショートベリー」、エチオピア産は細長いので「ロングベリー」と呼ばれています。

イエメン産コーヒー豆の特徴

それでは、イエメン産のコーヒー豆の特徴をご紹介していきましょう。

イエメンコーヒーの生産地

イエメンでは、西部に位置する標高が1,000~20,00mの山岳地帯と、中部の高原地帯でコーヒー栽培が行われています。年間降水量も1,000mm程度あり、土壌はほとんどが火山培土でミネラルが豊富なので、コーヒー豆の栽培に適しています。

また、昼間の気温は一年中を通して30度前後ですが、日中と夜の寒暖差が激しくコーヒー栽培に向いていて、高地では霧がよく発生することから、世界有数の良質のコーヒー豆が採れる生産地でもあります。

険しい山岳地帯では、山間の斜面で数百段もの段々畑を連ねて、雨季の雨水を最大限に利用した天水農法で栽培されています。

このように立地的にもコーヒー栽培がしづらいこともあり、現在でも栽培方法は昔ながらの有機農法により、1つ1つ人の手で丁寧に進められていきます。

また、砂漠気候であるイエメンでは、雨季と乾季がはっきりと分かれているために、乾燥式でコーヒー豆を処理することができます。その為、香りと味が濃縮された素晴らしいコーヒー豆になります。

イエメンには多くのコーヒー生産地がありますが、その中でも最も有名なのは、西部のバニーマタル地区です。「バニーマタル」とは、「雨の子孫たち」という意味があり、その名前の通り、雨量が非常に多いのが特徴的で、雨量が多い事から良質の豆が栽培できます。この高品質なコーヒー豆は、「モカマタリ」と呼ばれ人気があります。

また、首都「サナア」、フタイブ周辺の「イスマイリ」、サナアと海岸の中間地点にある「ハラズ」、サナアの南にある「ザマール県」等も有名な生産地です。

イエメンコーヒーの味・香り

スッキリとした甘味とまろやかさがあり、更にフルーティーで爽やかな酸味と柔らかな苦みも楽しめるのが特徴です。

香りは、花に似た芳醇な香りが特徴的です。

低温になると、更にフルーティーさが増し、後味に甘みが増してきます。コーヒー1杯をゆっくり時間をかけて楽しむことができます。

イエメンコーヒー豆の等級

コーヒー豆は一般的に、品質により等級が決められます。

しかし、イエメンコーヒーは独特で、生産地により格付けされています。

等級が高い方から、

  • アールマッカ(マタリの中でも極上豆を集めたもの)
  • マタリ(バニマタル)(上からNo.9~No.6まである)
  • サナア(平均より上、平均より下と分類される)
  • シャーキ
  • ホデイダ

このように各付けされています。

イエメン産コーヒー豆の種類・銘柄

イエメン産コーヒー豆の銘柄や特徴をまとめました。是非、購入する際の参考にしてください。

コーヒー豆の種類・銘柄 特徴
モカマタリ バニーマタル地方で生産された最高級銘柄です。豆のサイズが大小異なるのも特徴です。
アールマッカ モカマタリの中から豆が大きくて品質の良いものだけを手作業で選別した極上豆です。
サナニ イエメンの首都、「サナア」で生産されたコーヒーです。深みのあるコクと、フルーティーでスパイシーな香りがあり、モカ本来の味を楽しめるコーヒーです。
イスマイリ イスマイリ地区で生産されたコーヒーです。コーヒー豆はとても小さいのが特徴です。スパイシーな香りが強いコーヒーです。
モカハラズ イエメンのハラズ地区で生産されたコーヒーです。スパイシーな香りと芳醇な後味が特徴のコーヒーです。

イエメンのハラズ地区で生産されたコーヒーです。スパイシーな香りと芳醇な後味が特徴のコーヒーです。

イエメンコーヒーのおすすめの淹れ方

イエメンのコーヒー独特の深いコクとキレを楽しむために、中温でじっくりと時間をかけて、中煎り程度に焙煎するのがおすすめです。

また、挽き方は粗挽きがおすすめです。イエメンコーヒー独特の心地の良い酸味が出やすくなります。

また、ドリップする際は、90℃以下の低めの温度のお湯をなるべく早く注いで淹れましょう。苦みよりも、酸味を楽しむことができます。

イエメンコーヒー情報まとめ

今回は、イエメンのコーヒーの特徴や銘柄についてご紹介しました。イエメンは、エチオピアと並んでコーヒーの歴史が古い国であることをお分かりいただけたと思います。

「モカ」とは、イエメン産とエチオピア産のコーヒー豆であることを初めて知って驚いた方もいると思います。

モカ好きの方は是非一度、イエメン代表の「モカマタリ」、エチオピア代表の「モカハラー」を飲み比べてみてはいかがですか。コーヒーの歴史をあなたの舌で感じることができるはずです。

イエメン産コーヒー豆の記事一覧
サナニ【イエメンコーヒー】
モカマタリ【イエメンコーヒー】