

グアテマラにコーヒーが初めて伝来したのは1750年のこと。イエズス会宣教師によって持ち込まれました。
19世紀半ばごろまで天然インディゴを主要作物にしていたグアテマラ。しかし、近代化により化学染料が普及し需要が減少したため、政府は国をあげてコーヒー栽培の促進にふみきることに。
高い標高、肥沃な土壌、日中と夜間の寒暖の差や十分な日照量など、風味豊かなコーヒー豆の生産に欠かせない条件を満たしたグアテマラは、19世紀後半から現代まで、世界最高クラスのコーヒー生産地として名を馳せることになりました。
グアテマラの中でも最高級の生産地と言われるアンティグア地方では、今でもコーヒー栽培法について盛んに研究されています。
質の高いアラビカ種のコーヒー豆が、標高900~1800m前後で栽培されているといわれている中、グアテマラの主な生産地域のほとんどが1300m以上の標高を誇っています。ちなみに有名な生産地域の1つであるウェウェテナンゴは、なんと標高約1900m!酸素量が少ないため、木になった豆はゆっくりと成長し密度を高め、風味が凝縮されます。
豆が収穫されてからロースト(焙煎)に入る際、低地で栽培された低密度のコーヒー豆は、かなり低い温度でも焦げやすいのが難点。しかし、グアテマラ産の高密度の豆はしっかりとしたローストにも耐えうる硬さを備え、かつ世界中のコーヒー通たちをうならせるような濃厚で複雑な風味をもたらしてくれるのです。
主に8つのエリアで生産されおり、いずれも標高が高いのが特徴。活火山も多いことから土壌に含まれるミネラル分が豊富です。コーヒー栽培地の多くが山岳の傾斜地に位置しています。
一口にグアテマラ産と言っても、生産される地域、品種によって香りも風味も異なります。なぜなら上にも挙げたように、グアテマラにはいくつもの生産地域が存在し、それぞれ栽培される標高の高さも違えば、その土地の持つ特徴や気候(気温、雨量、乾燥の度合、土壌の質など)も微妙に異なるからです。
チョコレートの風味、キャラメルのようなリッチな甘味、りんごやレモンのようなフルーティーな酸味、ナッツのような香ばしさ、スパイス感、ココアのように濃厚でエレガントなコクをもたらすものなど、フレーバーは様々。
標高による格付けを採用しています。
収穫された地域や農園、品種でフレーバー分けされていることがほとんどです。ここでは主に、生産地域として特に有名な場所、豆の特徴を紹介します。
香り、酸味、コクのバランスがとれたアンティグア地方のものは特に人気が高く、コーヒー初心者さんにもおすすめです。
コーヒー豆の種類・銘柄 | 特徴 |
アンティグア | 香り、酸味、コクのバランスが良く上品な口あたり。ココアのような後味。 |
アカテナンゴ | フルボディ(しっかり目のコク)でチョコレートのような風味 |
ウエウエテナンゴ | フルーティーな甘味とジャスミンのような華やかな香りが特徴。 |
※上にあげるのは一例です。豆の品種やローストの度合い、生産された農園などによって風味の特徴も異なります。
ショップで購入する場合、一般的にミディアムローストからシティロースト以降の深さで焙煎されていることが多いでしょう。
コーヒー初心者の方、さっぱりとしたコーヒーやクリアなティストを楽しみたいという方は、ペーパーフィルターなどを使用したドリップ式で抽出するのがおすすめです。
しっかりとしたコク、豆本来の持ち味を味わいたいという方は、ぜひフレンチプレスを。コーヒーオイルまでしっかり抽出され、豆の持つ独特な風味をダイレクトに感じることができるでしょう。
また、グアテマラ産のコーヒーはチョコレートとの相性がいいものも多いため、チョコレートが好きな方は一緒に試してみては。
グアテマラにはコーヒー農家が約9万件存在し、うち6万件以上が小規模農家です。そんな中、グアテマラには『ANACAFE(グアテマラ全国コーヒー協会)』という団体が存在し、国内で生産されるコーヒー豆の品質向上と生産管理に力を入れています。たとえば、気候の変化や病気による生産体制の研究、国内にある農園の把握・管理、生産者の指導などが挙げられます。
また、トレーサビリティ(生産地から最終消費地まで生産履歴の追跡が可能な状態)の向上にも努めているため、市場に出回るコーヒーのほとんどが品質が高く、かつ安定的な美味しさをもたらしてくれるのです。
高品質であり、そして生産地ごとに様々なフレーバーの特徴を持つグアテマラコーヒーだからこそ、ぜひブレンドコーヒーとしてではなく、シングルオリジンで味わってみてくださいね。