

南米の最北端に位置し、カリブ海に面する国であるベネズエラは、南米大陸随一の自然の宝庫で、石油の埋蔵量は世界一でもあります。
そしてご存知の方もいるかもしれませんが、石油資源の開発が行われるまでの19世紀〜20世紀前半にかけては、コロンビアに次ぐコーヒー大国でした。しかし、石油産業が活性化していくとともに、コーヒー産業は衰退していってしまいました。
しかし、生産量はかつてほどではありませんがコーヒー生産は行われており、さっぱりとした酸味と、独特の強い苦味とコクが特徴のベネズエラ産コーヒーは人気があります。
今回は、そんなベネズエラ産コーヒー豆の特徴から銘柄までご紹介していきたいと思います。
ベネズエラのコーヒーの歴史は、1784年にジョセフ・モエダーノ司祭により、カリブ海のマルティーク島から持ち込まれたコーヒーが、ベネズエラの首都である「カスカス」に植えられたことから始まります。
19世紀から20世紀前半にかけては国民の多くが農業に従事し、ベネズエラの経済を支えていました。その中でもコーヒーは主要な輸出用農産物で、アメリカでのコーヒー市場が拡大したため、コーヒー産業は順調に拡大を進めていきました。なんと、この当時のベネズエラは、コロンビアに次ぐコーヒー生産国でした。
しかし、1910年代になると欧米系の国際石油資本会社により、ベネズエラのマラカイボ湖畔の豊富な石油資源が開発されていきました。すると、農業から石油産業に大幅にシフトしていき、コーヒー産業は一気に衰退していきました。
現在でもコーヒー豆は生産されていますが、その生産量は世界の総生産量の1%未満でありとても少ないです。また、生産量の7割程度が国内で消費されているため、市場への流通量は少なく希少価値は高いです。
ベネズエラ産のコーヒー豆は、ほとんどがアラビカ種です。
ベネズエラのコーヒー豆の主な生産地は、首都であるカスカスから南西の山岳地帯に集中していて、アンデス山脈やラコスタ山脈の麓のカスカス、トルヒーヨ、メリダ、マラカイボ、タラチなどです。
これらの生産地は標高が高く温暖な気候で、降雨量も豊富であり土壌が肥沃なため、コーヒー栽培にはとても適しています。
ベネズエラ産のコーヒーは、さっぱりとした酸味と独特の強い苦味とコクが特徴です。また、甘い香りも楽しめます。とても個性的な風味であることから、「南米らしくない」と表現されることが多いです。
ベネズエラ産コーヒー豆は、コーヒー豆の大きさを基準に等級付けされています。等級の高いものから順に、
スーベリオール(大粒のもの)
このようになっています。
コーヒー豆の種類・銘柄 | 特徴 |
マラカイボ | マラカイボ湖周辺で生産されているコーヒーです。チェリーとキャメルのような香りが特徴です。 |
メリダ | 風味が豊かで香りが優れている、繊細な味わいのコーヒーです。 |
ベネズエラ産コーヒー豆のおすすめの焙煎度合いは、中深煎り~深煎りです。
また、酸味が少なくて強い苦味が特徴なので、カフェラテやカプチーノなどミルクを加えて飲むのがおすすめです。
今回は、ベネズエラ産のコーヒー豆についてご紹介してきました。
かつてのベネズエラはコーヒー産業が盛んな国でしたが、現在は残念ながら縮小されてしまっています。生産量が少ない上に、約7割が国内で消費されている為、日本ではあまり見かけることのないコーヒーでもあります。
もしも、見つけたら迷うことなく味わってみてくださいね。