

インドの飲み物といえば紅茶やラッシーが有名ですが、コーヒーの生産量も多いことをご存知ですか?なんと、コーヒー生産量の国別ランキングでは常にトップ10入りするほどのコーヒー大国なんです。
そんなインド産コーヒーの歴史はとても古く、興味深いものです。
そこで今回は、インド産コーヒー豆の特徴と銘柄についてご紹介していきます。
インドのコーヒーの歴史は古く、1600年代にまで遡ります。
インド出身のイスラム僧侶、ババ・ブータンがメッカへの巡礼の旅の最中にコーヒーに初めて出会い、その素晴らしさに、「インドでもコーヒー豆を栽培したい」と考えます。
当時は、イエメンのコーヒー豆はモカ港から輸出されていたため、ババ・ブータンはモカ港から帰国する際に、こっそりと7つのコーヒー豆を持ち出し、インドに持ち帰ることに成功しました。
このコーヒー豆は、現在のインド南部のカルナタカ州マイソールのチャンドラヒルにて栽培され、1つの種が無事に発芽して、インドのコーヒー豆の歴史が始まりました。よってインドは、エチオピア、イエメンに続いて3番目にコーヒーの歴史が古い国とも言えます。
18世紀になると、ヨーロッパなどへ輸出するために大規模なコーヒープランテーションが行われるようになりましたが、1861年にアフリカで発生したコーヒー栽培の大敵である「サビ病」が、1868年にはインドにまで伝染し、コーヒー農園が全滅する被害を受けました。
これにより、コーヒー栽培から紅茶栽培へとシフトしていく農家が増えていくと同時に、栽培品種も「サビ病」に弱いアラビカ種から「サビ病」に強いロブスタ種へシフトしていきました。しかし現在では、アラビカ種も再び増えてきて、ロブスタ種と同量を占めます。
インド産コーヒー豆の特徴について、ご説明していきましょう。
インドではコーヒー豆の栽培は、南部の地域でされています。この地域は、標高1,000mを超える高地なのでコーヒー栽培に適しています。
その中でも、50%以上はルナカータ州で栽培されており、次いで30%はケーララ州、10%はタミル・ナードゥ州で栽培されています。
このインド南部は赤道付近に位置しており、日差しが強すぎるので、シェードツリーとしてフルーツやスパイスの木と一緒に栽培しています。
これにより、日射量を調節するだけでなく、シェードツリーの落ち葉が土壌を豊かにしてくれます。このように自然環境を上手に利用しているため、化学肥料を比較的使わずに栽培することが可能になっています。
近年では、東部や北東部でも栽培されるようになっています。
インド産コーヒーは、甘味と酸味を程よく感じられるコーヒーで、クセがないので飲みやすいのが特徴です。最後にまろやかな甘味とコクが心地よく感じられるコーヒーです。
インド産コーヒー豆は独特の格付け方法により等級が付けられています。詳しくは、
このようになっています。
また、サイズや採れた標高によって品質の良いものから、AA、A、B、B以下と格付けされています。
インド産のコーヒー豆の種類や特徴について分かりやすくまとめてみました。
コーヒー豆の種類・銘柄 | 特徴 |
モンスーンコーヒー(黄金コーヒー) | インドが植民地時代に、インドからヨーロッパへ航海するのに半年かかり、その間にコーヒー豆が黄金色へ変化したことが由来です。現在では、モンスーン(貿易風)を利用して当時の味を再現して作られます。独特の強い苦味が特徴です。 |
プランテーション | アラビカ種のウォッシュド(水洗処理)したものです。 |
アラビカチェリー | アラビカ種のナチュラル(非水洗処理)のものです。 |
パーチメント | ロブスタ種のウォッシュド(水洗処理)したものです。 |
ロブスタチェリー | ロブスタ種のナチュラル(非水洗処理)のものです。 |
インド産コーヒー豆は、程よい甘さとコクが特徴的なので中煎り~深煎りがおすすめです。また、強いコクを活かすために細挽きがおすすめです。
インド産コーヒー豆を淹れる時は、「インディアンコーヒー」をおすすめします。インディアンコーヒーとは、甘く泡立てられたコーヒーです。
ドリップした少量のコーヒーにミルクと砂糖を加えます。それを2つのカップを使い、高い位置からもう一つのカップに泡立てるように注ぐ作業を何度も繰り返します。その間に、コーヒーの温度が下がり、たっぷりの空気を含んでいくので、まろやかな甘いコーヒーに仕上がります。
今回はインド産コーヒー豆の特徴をご紹介しました。インド産コーヒー豆の歴史は世界で3番目に古いことに驚いた方も多いのではないでしょうか?
インドの独特のコーヒーの淹れ方「インディアンコーヒー」をお試しいただき、インドの雰囲気を思う存分味わって下さいね。
これからは、インド料理の食後の一杯はチャイではなく、コーヒーを頼みたくなりますよ。