ジャマイカは中央アメリカのカリブ海に浮かぶ小さな島国です。その大きさは日本の兵庫県程度しかありません。また、東西に長い国で、最高峰である「ブルーマウンテン」を含む山脈が東西に連なっています。そのため、なんと国土の約80%に山地が広がっています。

そんなジャマイカは、世界的に有名なコーヒーの銘柄「ブルーマウンテン」を生産する国としても有名です。ジャマイカのコーヒー豆の生産量は多くはありませんが、「ブルーマウンテン」のおかげで、日本ではジャマイカコーヒーの知名度は抜群です。

しかし、ジャマイカ産のコーヒー豆は、ブルーマウンテンだけではありません。他にも高品質な銘柄があります。

そこで今回は、ジャマイカ産コーヒー豆の特徴と銘柄をご紹介していきたいと思います。

ジャマイカのコーヒーの歴史

ジャマイカのコーヒーの歴史は1728年に始まります。

ジャマイカの首都でありジャマイカ島の南東部に位置する「キングストン」の北キャッスルトン近郊に、当時のジャマイカ総督である、「ニコラス・ローズ氏」が、フランス領であるマルティニーク島からコーヒーノキの苗木を持ち込んで栽培が始まりました。

このキングストンは、「ブルーマウンテンコーヒー」で有名な、標高2256mのブルーマウンテン山脈が広がる地域です。そのため高地な上、コーヒーベルトにも属していることから、コーヒー栽培にはとても適した土地です。

その当時、ジャマイカを植民地としていたイギリスがプランテーションを導入し、コーヒー栽培を本格化させていくと、ジャマイカの気候や地域がコーヒー栽培に適していることもあり、コーヒー産業は一気に拡大していきました。

しかし、その後の奴隷制度の廃止や作業環境の厳しさ、ハリケーンなどの自然災害の影響で、コーヒー産業は1930年代頃までにかけて衰退していきました。

その結果、コーヒーの生産量は激減し、コーヒー豆の品質も低下したため、ジャマイカ産のコーヒー豆の最大の輸出先であったカナダが輸入をストップしてしまいました。

しかし、それを契機にジャマイカは1948年に「コーヒー産業公社」を設立し、コーヒー産業の復興に全力で取り組みはじめ、世界的な人気銘柄である「ブルーマウンテン」を生産するまでに復活を遂げました。

ジャマイカ産コーヒー豆の特徴

ジャマイカのコーヒー豆の生産地

ジャマイカのコーヒー豆の生産地は、ブルーマウンテン山脈の麓に広がっています。この地域は、標高が800~1200mの急な斜面が多く、水はけがよい為コーヒー栽培にはとても適しています。

また、急な斜面にコーヒー農園があるので、栽培から収穫まで機械は使わず、すべて手作業で進められていきます。収穫されたコーヒーチェリーは水洗式で精製されて、天日干しや機械により丁寧に乾燥させます。

ジャマイカ産のコーヒー豆は高い品質にこだわっている為、赤く完熟したコーヒーチェリーだけを収穫していきます。その為、生産量は少なく、希少価値が高くなります。

その結果、コーヒー豆の価格は高騰し、日常的にコーヒーを飲む習慣があるヨーロッパ諸国では、あまり受け入れられませんでした。しかし、日本ではコーヒーは日常的なものというより嗜好品という考え方が強く、価格は高くでも品質の良いものが好まれる傾向があるため、「高級で品質の良いコーヒー」としてジャマイカ産のコーヒーが浸透していきました。

現在でもジャマイカコーヒーの際高級銘柄であり代名詞でもある「ブルーマウンテン」の80%以上が日本へ輸出されています。

そして、ジャマイカ産コーヒーの「ブルーマウンテン」だけが、樽に詰められて輸送されていることでも有名です。これは、18世紀のイギリスの植民地時代から続いています。イギリスから輸入した小麦粉が入っていた樽をリサイクルして使ったのが始まりでした。樽に使われている木材はアメリカの温帯林で採れたもので、匂いがありません。この樽はコーヒー豆の輸送時に湿気を吸収する役割をしています。

このように樽に入れて輸送することにより、輸送時の樽内の温度や湿度を一定に保つことができ、コーヒー豆の鮮度や高い香りをそのまま保つことができるのです。

また、ジャマイカで栽培されているコーヒー豆のほとんどがアラビカ種のティピカ種です。この品種は、アラビカ種の中でも味や香りがとても優れている人気の品種です。しかし、病害や虫害に弱い為、栽培には細心の注意を払っています。

ジャマイカ産のコーヒーの味・香り

ジャマイカ産のコーヒーは、爽やかな酸味と際立つ甘みが特徴です。また、香りが華やかで舌触りはとてもなめらか、後味にまろやかな甘みが残るのが魅力です。とてもバランスの取れた上品なコーヒー豆でもあります。

ジャマイカ産コーヒー豆の等級

ジャマイカ産のコーヒー豆は、収穫されている土地によって格付けされています。

品質の高いものから、

  • ブルーマウンテン(ブルーマウンテン山域で生産されたもの)
  • ハイマウンテン(ブルーマウンテン以外の標高500~1000mの地域で生産されたもの)
  • プライムウォッシュト(上記以外の場所で生産されたもの)」

このように等級付けされています。

更に「ブルーマウンテン」についてはスクリーンサイズと欠点豆により格付けされており、品質の高いものから、

  • No.1(6.8mm以上7.2mm未満)
  • No.2(6.4mm以上6.8mm未満)
  • No.3(6.0mm以上6.4mm未満)

セレクト(欠点豆の数が許容範囲以内で、一定基準以上のもの)」

このように等級付けされています。

ジャマイカ産コーヒー豆の種類・銘柄

コーヒー豆の種類・銘柄 特徴
ブルーマウンテン ブルーマウンテン山域で生産されたコーヒー豆です。ジャマイカの最高級グレードのコーヒーです。
ハイマウンテン ブルーマウンテン以外の標高10001200mの地域で生産されたコーヒー豆です。
ジャマイカプライム ブルーマウンテン山域以外の、標高10001200mに属さない地域で生産されたコーヒー豆です。主な産地は、ブルーマウンテン山脈の南斜面です。

ジャマイカ産コーヒー豆のおすすめの淹れ方

ジャマイカ産のコーヒー豆のおすすめの焙煎度合いは、ミディアムロースト~シティローストです。バランスの取れた味わいと際立つ香りを十分に楽しめます。

フルシティロースト以上にしてしまうと、せっかくの爽やかな酸味を消してしまいます。

ジャマイカ産のコーヒー豆は品質も高い上に、生産量が少ないことから希少価値がとても高いです。その為、ストレートでじっくりと味わってみてください。

ジャマイカ産コーヒー豆の情報まとめ

今回は、ジャマイカ産のコーヒー豆についてご紹介しました。

ジャマイカはカリブ海に浮かぶ小さな島国ですが、ブルーマウンテンをはじめとする山地が広がる土地であり、気候にも恵まれていることから、品質の高いコーヒー豆が生産されています。

しかし、生産量はまだまだ少なく、希少価値が高いコーヒー豆です。

ジャマイカ産のコーヒー豆は、非日常を味わえるほど品質の高い高級コーヒーです。是非、特別な時間やご褒美などに、じっくりとゆっくりと味わって楽しんでください。

ジャマイカ産コーヒー豆の記事一覧
ハイマウンテン【ジャマイカ産コーヒー】
ブルーマウンテン【ジャマイカ産コーヒー】