エルサルバドルは、19世紀半ばにグアテマラから独立を果たした中米で一番小さな国です。

エルサルバドル政府は、主要産業である農業の中でもコーヒーの生産にとても力を入れて取り組んでいます。

エルサルバドルは火山地帯が多いため「火の国」として知られ、その火山灰土壌はミネラル分を多く含み高品質なコーヒーの栽培に非常に適しています。

エルサルバドルのコーヒーの歴史

エルサルバドルでコーヒー栽培が始まったのは19世紀に入ってからのことで、当初は国内で消費するためだけのものでした。その一方で、アメリカやヨーロッパでコーヒーの消費が拡大するようになると、1858年に政府の主導で半強制的にコーヒー栽培を大規模で行いコーヒー産業への新規参入を促しました。

なんとエルサルバドル政府は国有地の3分の2の面積をコーヒー栽培に当てるという条件でコーヒー生産者に無償で土地を譲渡する政策を取ったのです。そうしてプランテーションが次々と建設されていき、1865年には海外へのコーヒー豆の輸出が行われるようになり、コーヒー栽培はエルサルバドルの重要な産業の一つとなっていきました。

その結果としてコーヒー栽培は盛り上がりを見せたのですが、富と権力が一部に集中するようになってしまいました。更に世界恐慌の煽りを受け、コーヒーの価格が暴落すると、労働者は職を失い、農民たちはプランテーションから追い出され、エルサルバドル経済は困窮を極めました。

それから1980年からの内戦により農園は荒れ果て、コーヒーの生産量が激減してしまったのです。しかし、1992年にエルサルバドル和平協定が締結されてから、かつてのコーヒー生産国としての様相を取り戻しました。

エルサルバドル産コーヒー豆の特徴

エルサルバドルはそれほど標高が高くないので、やわらかめのコーヒー豆が多いのが特徴です。ブルボン種の生産が伝統的に受け継がれ、国内生産の7割を占めていますが、ブルボン種はサビ病に弱いので徹底した管理が必要となります。

また、内戦後に設立された国立コーヒー研究所が中心となり開発したパカマラ種は、スペシャルティコーヒーとして世界的にも高い評価を受けています。

エルサルバドルのコーヒー豆の生産地

エルサルバドル国内には火山地帯が多く、ミネラルを多く含んだ酸性の火山灰土壌がコーヒーの栽培に適しています。代表的な生産地は西部のサンタアナ州、アウアチャパン州、中部のラリベルダ州、サン・サルバドル州、東部のウスルタン州です。

エルサルバドル産地コーヒーの味・香り

エルサルバドル産のブルボン種は明るい酸味、甘味、コク、おだやかで丸みのある味わいが楽しめ、パカマラ種と比較するとあっさりとした飲み口です。パカマラ種はきりっとした酸味が特徴で、キャラメルやダークチョコレートの様な甘くほろ苦いフレーバーとフルーティーな香りを併せ持ちます。

エルサルバドル産コーヒー豆の等級

エルサルバドルは標高を基準に等級分けしています。

  • ストリクトリー・ハイ・グロウン(SHG):標高1200メートル以上
  • ハイ・グロウン(HG):標高900~1200メートル
  • セントラル・スタンダード(CS):標高500~900メートル

エルサルバドル産コーヒー豆の種類・銘柄

コーヒー豆の種類・銘柄 特徴
エル・カルメン パカマラ エルサルバドルで生まれた新しい品種でキャラメルの様な甘くほろ苦いフレーバーが特徴です。
シャングリラ ブルボン よく熟したコーヒーチェリーだけをピッキングしている為、バニラやピーチのような味わいです。
サンタリタ ブルボン 熟成したワインのような香りや甘味が持ち味です。
シベリア ブルボン 標高が高く涼しいことからシベリア農園と名付けられ、パルプド・ナチュラルで精製されています。

エルサルバドル産コーヒー豆のおすすめの淹れ方

エアロプレスという手動で圧力をかけてうまみを引き出す抽出方法はいかがでしょうか。エルサルバドルのコーヒー豆本来の味わいや香りがしっかり引き出されます。その際、香りが飛ばないように焙煎度は浅煎りに近い中煎りのものがおすすめです。

エルサルバドル産コーヒー豆の情報まとめ

エルサルバドルは国内で紆余曲折がありながらも守り続けてきた伝統の味ブルボン種と新たに開発したパカマラ種でスペシャルティコーヒーとして高い評価を受けています。

エルサルバドル産コーヒー豆の記事一覧
エル・カルメン【エルサルバドル産コーヒー】