アフリカ大陸の東海岸の赤道直下に位置するケニアは、農業が発展している国です。その中でもコーヒーは、1位の紅茶に次いで2位の輸出額を占める農産物です。

ケニアのコーヒーの歴史は比較的浅いですが、世界で初めてコーヒーの研究機関が設立された国としても有名で、農園の管理方法から流通、格付けまで、コーヒー豆を管理する体制がとても整った国です。

その結果、現在では、ケニア産のコーヒー豆は世界中から高品質であると認められ、特にヨーロッパ諸国においては、「ケニアコーヒー」は第一級のコーヒーとして人気を集めています。

そこで今回は、ケニアコーヒーの特徴から銘柄までご紹介していきたいと思います。

ケニアコーヒーの歴史

ケニアのコーヒーの歴史は、1890年代に始まります。

フランス領のレユニオン島(元ブルボン島)から、フランス人宣教師がコーヒー豆を持ち込んだことから始まります。

ケニアの国境付近にはアフリカ最大のキリマンジャロ山脈があり、タンザニア側では既にコーヒー豆の栽培が本格化し始めていました。その為、ケニアもタンザニア同様にコーヒー豆の栽培に適した土地であると考えられ、多くの移民がケニアに定住しコーヒー豆の栽培を始めて行きました。

その結果、1900年になると28ものプランテーションがキリマンジャロ山麓の周辺にできました。現在もコーヒー豆のほとんどは小規模農家が栽培しており、それを各地区の協同組合が加工する体制をとっています。

また、ケニアは、コーヒーの研究機関を世界で初めて設立した国としても有名です。

コーヒー豆についてのあらゆる研究を行い、それらのデータをもとにして、生産から精製工程、流通経路に至るまで全ての方法を確立させました。

その為、海外に輸出するコーヒー豆は、首都のナイロビのセントラルオークションと国のコーヒー局(農業省内に設置されている)が外国企業と直接取引をする形で流通させています。この結果、ケニアのコーヒー豆は、年間を通して、品質の高い豆を安定的に流通させることができ、世界中から高評価を得ているのです。

ケニア産コーヒー豆の特徴

ケニア産コーヒー豆の主な生産地は、ケニア山(標高5,119m)周辺の「キリニヤガ地区」、「エンブ地区」、「ニエリ地区」、「チカ地区」、「ルイル地区」、「メル地区」等です。標高1,000m以上の高原にあります。

こうしたケニアのコーヒー豆の生産地は、赤道付近でコーヒーベルトに位置していて、降雨量も多く水はけのよい赤土で、昼夜の温度差が激しいことからコーヒー栽培に適しています。栽培されているのはアラビカ種のみです。

ケニアでは一般的に、収穫されたコーヒーチェリーは、栽培地に近い「ファクトリー」に運ばれて、ほとんどがウォッシュド式で精製されます。しかし、今も尚、昔ながらのケニア式を採用している農園もあります。

またケニアでは、年に2回の雨季があるので、収穫は1年間に2回行われています。3月から6月にかけての収穫時期を「アーリークロップ」と言い、11月から1月にかけての収穫時期を「レイトクロップ」と言います。そのうち、レイトクロップのコーヒー豆の方が高評価を得ています。

ケニアコーヒーの味・香り

ケニアコーヒーの最大の特徴は、風味が豊かで、ベリー系や柑橘系の爽やかな酸味がバランスの取れている所です。

また、柔らかな苦みとしっかりとしたコク、更に華やかな香りが上品に感じられるコーヒーでもあります。

このようなアフリカらしいケニアコーヒー独特の風味や香りは、深煎りにしても残ることから、焙煎度合いによって様々な味の変化を楽しめるコーヒーでもあります。

ケニアコーヒー豆の等級

ケニアのコーヒー豆は、スクリーンサイズと形状によって格付けされています。

まず、スクリーンサイズによる分類では、上から順に、

  • AA(6.8mm以上)
  • AB(6.0mm以上6.8mm未満)
  • C(4.4mm以上6.0mm未満)
  • E(非常に大きいもの)

このように等級付けされます。

次に、形状による分類では、上から順に、

  • PB(ピーベリー)
  • TT(Cより小さいものや、Eのかけらなど)
  • T(微細豆、一般的なサイズのコーヒー豆のかけらや未熟豆など)

このように等級付けされます。

また、競りにかけられる時は、生豆の状態から焙煎、抽出後の品質まで考慮に入れて、更に10段階に等級付けされます。(1が最高グレード、10が最低グレード)

ケニア産コーヒー豆の種類・銘柄

コーヒー豆の種類・銘柄 特徴
アラビカ種SL28 ケニアのスコット研究所で生まれた品種です。ブルボン種で干ばつに強い特徴があります。「ケニアフレーバー」と呼ばれる独特の香りと酸味とコクのバランスが取れているコーヒーです。
アラビカ種SL34 ケニアのスコット研究所で生まれた品種です。ブルボン種で高地での栽培に適しています。香りを引き立てる爽やかな酸味とコクが心地よいコーヒーです。
ルイル11 サビ病等に耐性がある品種です。カチモール種とSL種を交配させて作り上げたものです。
バティアン ルイル11に比べて成長が早く、収穫量も耐病性も上回ると期待が集まる品種です。
カラチナファクトリー 濃厚な強い甘みがの特徴。柑橘系とカカオのような香りが広がります。
カイグリ リンゴのような甘みと酸味が特徴です。コクと苦みは少なく、ナッツのような香りや風味が残ります。
カサンガリリ・ファクトリー
ベリー系の酸味と甘みが特徴です。苦みもしっかりとありバランスが取れています。フローラルの香りが広がります。
カリミクイ・ファクトリー
フルーティーな香り、そしてアプリコットのような酸味が特徴です。熟成した甘みも感じられ、トロッとした舌触りの後味はとても爽やかです。
キアンジル・ファクトリー
マイルドで力強いコクと甘みがあり、ラズベリーのような酸味が特徴です。カシスのような優しい香りがあります。
ワムグマ・ファクトリー
柑橘系の酸味とチェリー系の酸味の両方が楽しめるコーヒーです。また、芳醇なコクと苦みもあり、バランスの取れた上質な味わいです。
ムシャカラ・ファクトリー
カシスのような甘みと酸味、そして芳醇なコクが特徴的です。香りも豊かで、はとろみのある舌触りは病みつきになります。

ケニアコーヒーのおすすめの淹れ方

ケニア産のコーヒー豆は、前述した通り、焙煎程度や挽き方の違いで様々な味わいを楽しめる魅力があります。

爽やかなフルーティーな酸味を楽しみたい方は、ミディアムローストがおすすめです。また、甘味と力強いコクを楽しみたい方は、フレンチローストがおすすめです。

また、挽き方は中粗挽きがおすすめです。中粗挽きにすることで、ケニアコーヒーの最大の特徴である爽やかな酸味をより引き立たせることができます。

しかし、酸味よりも、力強いコクと甘みを感じたい方には、中挽き程度がおすすめです。

ケニアコーヒー情報まとめ

今回はケニアコーヒーについてご紹介しました。

ケニアコーヒーの歴史は、近隣のエチオピアやタンザニアに比べると浅いですが、整った管理体制の元で生産から流通までをコントロールされているので、常に高い品質のコーヒー豆の流通を成功させています。

もしもケニアコーヒーに出会えたら、是非ケニアコーヒーを味わってみてください。アフリカらしい力強いコーヒーに感動するはずですよ。

ケニア産コーヒー豆の記事一覧
ムシャガラ・ファクトリー【ケニアコーヒー】
ワムグマ・ファクトリー【ケニアコーヒー】
キアンジル・ファクトリー【ケニアコーヒー】
カリミクイ・ファクトリー【ケニアコーヒー】
カサンガリリ・ファクトリー【ケニアコーヒー】
カイグリ【ケニアコーヒー】
カラチナファクトリー【ケニアコーヒー】
バディアン【ケニアコーヒー】
ルイル11【ケニアコーヒー】
アラビカ種SL34【ケニアコーヒー】