イエメンは、アラビア半島の最南端にある共和制の国で、エチオピアと並んでコーヒー原産国として有名です。

また、イエメンにあるモカ港は、世界で初めて商業目的でコーヒー豆を世界中に向けて輸出した港でもあります。その為、コーヒーの歴史はイエメンなしでは語ることはできないとまで言われる国です。

そんなイエメンには多くのコーヒー産地がありますが、その中でもイスマイリ地区で生産される「イスマイリ」は、甘酸っぱい酸味とスパイシーな香りを持ち合わせているコーヒーとして世界に多くのファンがいる銘柄です。

今回は、そんなイスマイリについてお話していきます。

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イスマイリとは?

イスマイリの特徴・生産地

イスマイリは、イエメンの首都であるサナアから北西に約100kmの「イスマイリ地区」で生産されています。

イスマイリ地区に広がるコーヒー農園は、標高が2000mを超える断崖にあり、段々畑のように連なっています。とても畑のようには見えない場所で、イスマイリの栽培が行われているのです。

栽培方法は、昔ながらの自然農法をそのまま引き継いで行っています。また、品種改良も行わずに、原生種をそのまま栽培しているので、現存するコーヒーの中でも最もコーヒーの原生種に近いと言われています。

このような原生種に近いコーヒーノキは、他の種と比べて栽培効率が非常に低く、コーヒー豆の出来や大きさにばらつきが生じやすいのが欠点と言えます。しかし、原生種に近いコーヒーノキからは、風味や個性がとても強いコーヒーチェリーが収穫できるため、精製されて出来上がった「イスマイリ」の品質は素晴らしく、世界中の多くのコーヒーファンから人気を集め、希少価値を更に高めています。

イスマイリ地区では、多くの小規模農家がコーヒーノキを無農薬で丁寧に栽培しています。そして、10月~12月にかけて、赤く完熟したコーヒーチェリーのみを丁寧に手摘みで収穫していきます。その後、コーヒー豆はナチュラル製法で精製され、天日干しで時間をかけて乾燥させて出来上がります。

イスマイリのコーヒー豆は、他のイエメン産のコーヒー豆と比べて、とても小さいのが特徴です。

かつては、アラビアの王侯貴族専用として貴族たちに愛したとされる、歴史のあるコーヒーでもあります。

イスマイリの味・香り

イスマイリは、甘酸っぱい酸味とふくよかでまろやかな甘みがよく感じられます。また、スモーキーでスパイシーな強い香りも特徴のコーヒーです。チョコレートのような風味と濃厚なコクもあり、舌触りが滑らかな高級コーヒーです。

イスマイリのおすすめの淹れ方

イスマイリのおすすめの淹れ方は、焙煎度合いはミディアムロースト~フレンチローストです。また、挽き方は、粗挽きがおすすめです。

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イスマイリ(イエメンコーヒー)情報まとめ

今回は、イエメンコーヒーの「イスマイリ」についてご紹介してきました。

イスマイリは、風味や香りが優れた高品質なコーヒーで、かつては、王侯貴族専用として愛されてきた最高級コーヒーでもあります。

しかし残念なことに、イエメンでは国内で起こる度重なる内戦などの影響から、農家が減り続けています。そして更に、コーヒーから「カート(カートという葉っぱを口の中に入れて噛んで楽しむ、イエメンで人気のある思考食品の1つ)」にシフトする農家も増えてきており、イスマイリの生産量は下降の一途を辿っています。

その為、日本での流通量が少なく、もしも出会うことがありましたら、是非一度飲んでみてください。

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