コーヒークロロゲン酸の健康説に関する盲点
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カフェインと言えばコーヒーを思いつく人は多いでしょう。

 

ではクロロゲン酸と言えばどうでしょうか?

 

クロロゲン酸はあまり聞いた事のない名前かもしれませんが、

実はクロロゲン酸もコーヒー成分の中に含まれている一種です。

 

コーヒークロロゲン酸にはいくつかの興味深い効果があり、

その中でもクロロゲン酸は健康に良いという

健康説が注目されています。

 

果たして本当に健康に良いのか?

 

コーヒーからクロロゲン酸を摂取するためには

何かポイントがあるのか?も含めて

コーヒークロロゲン酸について詳しく解説していきます。

 

 

目次

 

 

 

 

 

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1.コーヒークロロゲン酸について詳しく

 

1-1.クロロゲン酸とは?

 

コーヒー豆は煎る前の「生豆」と

煎った後の「焙煎豆」に分かれます。

 

クロロゲン酸とは、

主にコーヒーの生豆に多く含まれている成分のことです。

 

クロロゲン酸は双子葉植物(発芽した時に双葉を出す植物)に

広く含まれるポリフェノールの一種です。

 

コーヒー豆の中には他の食品と比べてみても

クロロゲン酸が豊富に含まれており、

コーヒーの成分でよく知られている「カフェイン」と並んで、

注目されている成分です。

 

 

 

1-2.クロロゲン酸の「クロロ」とは?

 

「クロロ」と言うのは、

実は「緑色の」と言う意味の接頭語です。

 

よく葉緑素の事をクロロフィルと言いますが、

化粧品や食品、サプリメントの成分として表記されています。

 

1-3.ポリフェノールとは?

 

ポリフェノールと言えばすぐに思い付くのが赤ワインですが、

ポリフェノールの正体を具体的に説明すると、

植物が作り出す抗酸化物質の事を言います。

 

赤ワインのアントシアニン、

お茶のカテキンなどもポリフェノールの仲間になります。

 

その他、

ココアのカカオポリフェノールもあります。

 

そしてあまり知られていませんが、

ポリフェノールは野菜や果物にも多く含まれており、

その数はなんと5000種類以上あると言われています。

2.クロロゲン酸にはどんな効果があるの?

 

ポロフェノールの一種であるクロロゲン酸には、

沢山の魅力的な効果があります。

 

まず、クロロゲ酸はコーヒーを焙煎した時の褐色度合や苦み具合、

そして香りの素にもなっている成分なので、

コーヒーの味・色・香りを決定する

大切な主成分であると言われています。

 

そしてコーヒー成分で有名な

「カフェイン」よりも多く含まれています。

 

次に、

富士医科薬科大の難波亘雄名誉教示によると

 

「人はもともと、活性酸素の働きを制御する酵素を持ち、簡単には活性酸素の害に触れないようになっていて、コーヒーに含まれるクロロゲン酸という成分も、この酵素と同じ作用があります。」

 

この事から、

クロロゲン酸は私たちの体にさまざまな障害を引き起こす

活性酸素から守ってくれる事が分かります。

 

では活性酸素が引き起こすさまざまな障害とは

どんなものなのでしょうか?

 

それは動脈硬化、糖尿病、

体を錆び付かせる、老化、ガンなどの事で、

活性酸素がこれらを引き起こすのではないかと言われています。

 

クロロゲン酸は、

血糖値を下げて糖尿病を予防する効果もあるといわれています。

 

糖尿病は恐ろしい病気で早めに対処しなければ、

腎臓病を発症したり失明したりと

合併症が怖い事で知られています。

 

この糖尿病の中でも生活習慣や加齢が原因で起こる

「2型糖尿病」を予防すると言われているのがコーヒーです。

 

コーヒーに含まれる

クロロゲン酸とマグネシウムが

血糖値を抑えるためだと言われています。

 

また、

抗酸化作用でガンを予防する効果が期待できるという報告もあり、

特に食道ガンや胃ガン、肝臓ガン、

大腸ガンの抑制効果が期待できるといわれています。

 

1日3杯以上コーヒーを飲む人は

直腸ガンのリスクが半減するという

研究結果も発表されています。

(参考資料/コーヒーとからだのおいしい話)

 

だからと言って、

本当にコーヒーを飲んでいれば

コーヒーに含まれる成分のクロロゲン酸が

活性酸素を抑制し

私たちの体をさまざまな障害から守ってくれるのでしょうか?

 

その点をもっと詳しく調べていきます。

 

 

 

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3.コーヒークロロゲン酸が健康に良いという説の盲点

 

本来、私たちの体は良くできていて、

何らかの細菌やウイルスなどが仮に体内に入ってきたとしても、

それらから体をしっかり守る免疫機能を持っています。

 

しかし昨今の現代社会では

日々ストレスにさらされ

必要以上に活性酸素が発生しています。

 

その結果、正常な細胞を攻撃したり、

体を酸化(錆びつかせ)させたりするのではないかと言われています。

 

よってこの活性酸素から身を守るには、

活性酸素の働きを抑制する

クロロゲン酸が含まれているコーヒーを飲めば良いのではないか?

と言われていました。

 

しかし、

活性酸素を抑制する力を発揮するには、

ただコーヒーを飲めば良いとい訳ではないようです。

 

なぜならクロロゲン酸は熱に対して弱く、

200℃~300℃の高温で10分以上加熱する

コーヒーを焙煎していく過程で

その殆どが失われてしまうからです。

 

しかし、

せっかく活性酸素を抑制する働きがあるクロロゲン酸が

コーヒー成分として含まれているので何とか工夫して

コーヒーを飲みながら一緒に取り入れたいものです。

 

 

 

4.コーヒークロロゲン酸を上手に摂取する3つのポイント

 

①クロロゲン酸が高温に弱い事から

コーヒー豆の焙煎法は高温で長時間煎る深入りよりも、

浅煎りのものを選びましょう。

 

②コンビニなどに置かれているコーヒーマシーンから飲む場合、

コーヒー豆の状態が見られる場合には次の事をチェックしましょう

※コーヒー豆の表面にうっすらと油のてかりが見えていないか?

もし見えていたら、

深煎りコーヒー豆の可能性が高いのでクロロゲン酸は期待できません。

 

※コーヒー専門店などのショーケースに入っている場合は、

浅煎りと表記してあるものや、豆の表面を見た時、

まだうっすらと油が出ておらず

枯れた感じで薄い茶色のコーヒー豆を選ぶようにしましょう。

その場合はクロロゲン酸がたっぷり含まれている事が期待できます。

 

③深煎りのエスプレッソコーヒーはクロロゲン酸が殆ど失われています。

クロロゲン酸を意識するなら浅煎りのアメリカンコーヒーを選ぶようにしましょう。

 

 

 

 

 

5.コーヒー抽出法とクロロゲン酸の関係

 

5-1.コーヒーを入れている間の時間とクロロゲン酸の関係

コーヒー抽出時間とクロロゲン酸含有量の関係で

面白い実験結果が出ています。

 

まず、

コーヒーを家庭用でよく使われている

ペーパードリップを使って抽出場合、

抽出している時の最初の段階で殆どのエキス成分が出てしまい、

後半はその殆どがコーヒー色をした水分のみという結果です。

 

後半はコーヒーの出がらしが出ているといったイメージになるでしょう。

 

具体的には、

ペーパードリップを使って3分かけてコーヒーを入れると

最初の1分でクロロゲン酸は殆ど全部抽出されていて、

あとの2分はコーヒーの色をした水分が出ているだけという事になります。

(参考:「もっと知りたいコーヒー学」)

 

 

5-2.コーヒーを入れる時の速度とクロロゲン酸の関係

コーヒーを入れる時、

あまり速度を気にせずお湯を注いでいる人は多いかもしれません。

 

 

しかし、

このお湯を注ぐ速度とクロロゲン酸が抽出される量にも

興味深い実験結果が出たようです。

 

どういう実験結果だったかというと、

ペーパードリップを使い上から一気にお湯を注いだ時と比べると、

ゆっくり少しずつお湯を注いで抽出した方が

クロロゲ酸をたくさん抽出できたという結果です。

 

 

 

6.まとめ クロロゲン酸をしっかり抽出して美味しいコーヒーを入れる方法

 

活性酸素を抑制し、

健康に良いコーヒー成分のクロロゲ酸をたくさん摂取するには、

焙煎法は浅浅煎りのアメリカンコーヒーが良いという事になりますが、

ここに美味しさを考慮すると、

決して浅煎りアメリカンコーヒーが美味しいとは

人によっては言い切れなくなります。

 

その場合、

「クロロゲン酸」と「コーヒーの美味しさ」の

二つのバランスを考えなければならなくなるので、

クロロゲン酸を摂取しながら美味しくコーヒーを飲むには、

焙煎法は中煎りのコーヒー豆を選んで、

コーヒー豆に付着しているクロロゲン酸を一気に剥がさないよう、

できるだけゆっくりていねいに注ぎながら

コーヒーを入れる事がポイントになってくるでしょう。

 

 


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