コーヒーを飲む事で腸内細菌に与える影響と男女の違い

ここでは、コーヒーと腸の関係を解説しています。

まず、腸とはどんな働きをするところなのかを理解し、
コーヒーを飲む事で腸内菌にどんな影響を与えるのかを
説明していきます。

更に、複数の研究発表を元に、
コーヒーと大腸がんの関係や、
その予防に対する男女の差に
興味深い結果が出た事を紹介していきます。

 

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1. 腸って何するところ?

1-1 小腸は栄養分を消化して体内へ吸収するところ

 

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小腸は食べ物を消化・吸収するところです。

食べ物は胃で消化・吸収すると思われている方もたまにいらっしゃいますが、
胃では胃液を分泌しながら食べ物を混ぜ合わせ、
ドロドロしたおかゆ状態へ溶かして分解しています。

その後、小腸へ運ばれ、
毛細血管を通過できるくらいの最小単位へと化学的に変化させることで、
栄養分が毛細血管を通りながら体内へ吸収されていくのです。

このように小腸は栄養分を吸収する大切な役割をするところなので、
外部からの細菌やウイルスの侵入を防ぎ
感染を未然に防ぐことも同時に行っています。

 

1-2 大腸は不要なものを固めて体外へ排出するところ

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大腸は、小腸で必要な栄養素を吸収した後、
残った食べカスを固めて便をつくり、
体の外へ出そうとするところです。

便はその80%が水分で、残りの20%が固形物となり、
その内容は、「食べかす」「腸内細菌」
「腸の内側の壁がはがれたもの」で構成されています。

また、小腸で吸収しきれなかった水分やミネラルを
大腸で吸収しようとする働きもあります。

 

1-3 腸内細菌の理想バランスは2:1:7

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腸内細菌は大腸にたくさん住んでいます。

腸内細菌には大きく分けると3つの種類があり、
「善玉菌」「悪玉菌」「日和菌」です。

腸内環境が整っている腸は、
善玉菌がしっかり活躍しています。

逆にストレスや睡眠不足、
食事内容など生活習慣が乱れていると、
腸内環境にも影響され、悪玉菌が勢力を増しています。

そして日和菌にはどのような特徴があるかというと、
「ひより」という名前が付いているように、
イメージとしては優柔不断で、善玉菌が活躍している時は善玉菌に協力し、
悪玉菌が優勢の時は悪玉菌に協力してしまう腸内細菌なのです。

この3つの腸内細菌の理想的バランスが、
善玉菌:悪玉菌:日和菌=2:1:7です。

このバランスを保つことが、
健康の秘訣といわれています。

 

 

 

2. コーヒーを飲むと腸内の善玉菌が増えるのか?

ここからは、イギリス・レディング大学の
シャルロット・ミルズ氏らの研究グループが、
栄養学の国際誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション誌 / 2015年4月号」において、
報告した内容を紹介します。
(参照元:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25809126

「コーヒーにはクロロゲン酸が比較的多く含まれている。

このクロロゲン酸は、他のポリフェノールと同じように、
脳血管疾患と2型糖尿病の予防効果があると考えられている。

さらに、クロロゲン酸は大腸に到達すると、
大腸に有益な効果をもたらす可能性があるとも見られている。

クロロゲン酸、ジヒドロカフェ酸、ジヒドロフェルラ酸の
3つのコーヒーの成分が4時間で急速に代謝されると分かった。

クロロゲン酸を最も含むコーヒーで、10時間後にビフィズス菌の増加量が多いと分かった。」

このように、この報告文からコーヒーを飲むと、
ビフィズス菌の増加する事がわかりました。

次に、この報告文に出てくるコーヒーを飲んで、
4時間後に急速に代謝される3つの成分
「クロロゲン酸」「ジヒドロカフェ酸」「ジヒドロフェルラ酸」について
もう少し詳しく説明していきます。

 

2-1. クロロゲン酸

コーヒーといえばカフェインが有名ですが、
実はポリフェノールの一種であるクロロゲン酸も豊富に含まれています。

このクロロゲン酸には、
腸内細菌を増やす働きがある事が数々の研究で発表されており、
腸内細菌の中でも善玉菌であるビフィズス菌を増やすとされています。

2-2. ジヒドロカフェ酸

カフェ酸はコーヒーに含まれるポリフェノールの一種で、
コーヒーを焙煎することでクロロゲン酸が分解して、
カフェ酸とキナ酸がつくられるそうです。

また注目すべき驚異的な機能として、
ガン細胞の転移の抑制作用があると報告されています。

その他にも多くの菌種に対する
抗菌作用があることが報告されているそうです。
(参考書籍:「食品機能性の科学」より)

 

2-3. ジヒドロフェルラ酸

 フェルラ酸はカフェ酸の3位の水酸基がメチル化された化合物です。
(参考書籍:「食品機能性の科学」より)

次に、コーヒーと大腸ガンの関係について、
男女における興味深い研究報告を紹介していきます。

 

 

 

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3.  コーヒーと大腸がん予防における明らかな男女の違い

 まず、国立がん研究センターによると、
40歳~69歳までの男女約10万人を10年間調査した結果、
コーヒーと大腸がんに関して論文を発表しています。

それによると、男性では、
コーヒー摂取による大腸がんとの関連が見られなかったのに対し、
女性はコーヒー摂取によ大腸がんの関連が見られたというのです。

 「女性では、ほとんど飲まないグループに比べ、
1日に3杯以上飲むグループで、大腸がん全体のリスクが約3割、
浸潤がんでは約4割低くなっていましたが、
いずれも統計学的に有意な差ではありませんでした。浸潤がんをさらに部位別に分けたところ、
1日に3杯以上飲むグループで結腸がんリスクが56%低くなり、
コーヒーを飲む量が多いほどリスクが低くなるという傾向が見られました。直腸がんでは、同様の傾向は見られませんでした。」

引用元:国立がん研究センター

つまり、女性においては、
コーヒーが大腸がん予防に貢献しており、
特に1日3杯以上飲む事で、結腸浸潤がんのリスクが、
半分以上の確率で低くなる傾向が見られたと言っています。

コーヒーを飲む量が多ければ多いほど、
更に確率は低くなったようです。

ではなぜ、男性には
このような予防傾向が見られなかったのでしょうか?

同じく国立がん研究センターによると、
男性の大腸がんの理由としては、
特にタバコとお酒の影響が強いと考えられているようです。

つまり、コーヒーをいくら飲んでも、
タバコやお酒の摂取量が多ければ、それが原因となり、
大腸がんになりやすいのではないかという見解です。

では、男性は単純にお酒やタバコを控えれば、
女性と同じようなコーヒーによる大腸がんの
予防効果を得られるのでしょうか?

ここからは、
岐阜大学大学院医学部研究科
永田知里教授(疫学・予防医学)グループが行った、
「高山スタディ」という岐阜県高山市で行われた
健康と生活習慣調査を見ていきましょう。

岐阜県高山市で35歳以上の住民(男性14,427人、女性17,125人)を対象にした、
2000年から8年間の追跡調査の結果、
男女におけるコーヒー・緑茶の「摂取量」と、
大腸がんの「相対危険度」の分かりやすいグラフを発表しています。

 

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出典:「高山スタディ」より
グラフ参照:「全日本コーヒー協会」より

このグラフでも分かるように、
コーヒーの女性における大腸がんリスクの軽減がはっきり出ていますが、
高山スタディの一つの結果をもって、
「コーヒーは大腸がんに効く」とははっきり言い切れないとしています。

また、男性と差が出た背景には、
もしかしたら男女で異なるホルモン環境の作用があるのかもしれないが、
すべては憶測にすぎないようです。

 

 

 

4. コーヒーで大腸がん予防をするシンプルな3つのポイント

ポイント① コーヒーを毎日3杯以上飲む

ポイント② 生活習慣を整える (運動・ストレス・睡眠・食事内容)

ポイント③ お酒・タバコを極力控えめにする

 

 

 

5. まとめ 

コーヒーと病気、
コーヒーと健康に関する研究発表は、
今までで数多くされています。

その中で、
「コーヒーが腸内細菌の善玉菌を増やす」
「コーヒーが大腸がんの予防になる可能性が高い」など前向きな発表や、
まだまだそうとは言い切れないという見解もありました。

しかし、最も気を付けなければならないのは、
「タバコ」や「お酒」そして「運動不足」や「ストレス」などの
生活習慣の乱れの方かもしれません。

逆に、生活習慣をきちんと整えながら、
毎日おいしくコーヒーを飲む事で、
コーヒー成分の効果を発揮し、
健康な生活を送る事ができるのではないでしょうか。

私たちの健康を維持するには、
「コーヒーの効果」だけに頼るのではなく、
「良い生活習慣」の両方を意識する事が大切のようです。

 

 

 


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