ジャコウネコ・コーヒーのおいしい作り方とフンの関係
tristantan / Pixabay

当サイトではインドネシア現地人の知人にコンタクトし、
予めジャコウネコ・コーヒーについて聞いてみたところ、
そもそもジャコウネコのフンから採取し作られる、
この特殊なコーヒーは現地農家の人たちだけでこっそりシェアされていた、
秘密の飲み方でありコーヒーだったそうです。

その後、商品化され、
現在ではちょっとその成分が入っているだけでも
高値で取引されるなど、商業化が進みました。

ここでは、知る人ぞ知る、
ジャコウネコ・コーヒーの誕生歴史を見ていきながら、
特殊なコーヒー豆の精製方法や、
おいしい現地流の飲み方を紹介していきます。

 

 

 

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1. ジャコウネコ・コーヒーと言えば

ジャコウネコ・コーヒーとは、
コーヒーの木の実を食べたジャコウネコのフンから未消化状態のコーヒー豆を取り除き、
きれいに洗った後、乾燥させてから高温で焙煎して淹れたコーヒーのことです。

ルアックコーヒーとも呼ばれています。

ジャコウネコのフンから出てきた、
「コーヒー豆」の事は、
「コピ・ルアク」と呼ばれています。

「コピ」とは、インドネシア語でコーヒーの事
「ルアク」とは、マレージャコウネコの事です。

このかなり特殊なコーヒーは、
世界でも希少価値が高く、
幻のコーヒーとも呼ばれています。

一杯分の値段が高額にもかかわらず、
コーヒー愛好家の間では、
その独特な風味と味わいが楽しまれているようです。

 

 

 

2. ジャコウネコ・コーヒーが誕生した歴史

ジャコウネコはインドネシアにも生息していますが、
コーヒーはその昔インドネシアにありませんでした。

コーヒーをインドネシアに持ち込んだのは、
インドネシアを植民地化していたオランダ人でした。

ところがオランダ人は、
コーヒー栽培を奴隷のインドネシア人に行わせていましたが、
コーヒーを飲む事は許していなかったのです。

しかし地元農家の人たちは、
自分たちもなんとかコーヒーを飲んでみたいと思うようになりました。

そこで、ジャコウネコがコーヒーの木の実を食べると、
フンとして未消化のコーヒー豆が排出されるのを知っていた地元農家の人は、
森へ行きジャコウネコの巣からフンを見つけると、
未消化のまま排出されたコーヒー豆だけを集めて、きれいに洗い乾燥させた後、
煎ってからコーヒーを淹れ飲んでいたのです。

こうして、
ジャコウネコ・コーヒー(コピ・ルアク)が誕生しました。

 

 

 

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3. ジャコウネコとは?

インドから中国南部、
東南アジアなどに分布するネコ科の動物です。

ネコ科といっても、
見かけはタヌキに近いです。

英名は「パームシベット」と呼ばれています。

ジャコウネコは今からなんと3000万年前から生息していてその後、
古来のまま祖先の姿を残したジャコウネコと、
急激な進化を遂げた「ネコ類」と2つに枝分かれしていきました。

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(画像参照元: Private Zoo Garden )

急激な変化を遂げたネコ類は、
動物を捕食としています。

一方、古来祖先の姿をとどめたジャコウネコは、
雑食性で鳥やネズミなどの小動物の他に、
トカゲやカタツムリなどの昆虫や、
バナナやいちじくなどの果実を食べています。

この果実に、
赤い色をしたコーヒーの木の実も含まれていました。

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(画像参照元: 植物図鑑 )

 

 

 

 

4.コピ・ルアクが出来るまでのプロセス

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ここからは、
ジャコウネコのフンから採取されたコーヒー豆(コピ・ルアク)が
できるまでの流れを説明していきます。

まず、
コーヒーの木の実の構造を見ていきましょう。

 

4-1. コーヒーの実の断面図

コーヒーの実を断面図で見ていきましょう。

断面図の外側から説明していくと、
①外側についている赤い皮(外皮)
②果肉
③果肉の内側についている内果皮(=パーチメント)
④パーチメントの下にある種皮(=シルバースキン)
⑤最後にコーヒー豆である生豆が出てきます

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4-2. 口から入ったコーヒー豆がフンとして出てくるまで

ジャコウネコはコーヒー豆の中でも、
赤く熟していて甘くやわらかいものを、
特殊なセンサーで選び出して食べていると言われています。

では、ジャコウネコの口から入ったコーヒー豆が、
フンとなって外に出てくるまでの流れを、
上の【コーヒー断面図】を参照しながら見ていきましょう。

①まず、ジャコウネコは赤く熟した甘いコーヒーの実を選んで口の中に入れる

②口の中で噛みながら、一番外側の赤い皮を器用にはがし取る (コーヒー断面図①)

③皮は外へ、吐き出す

④出てきた甘い果肉を舐める (コーヒー断面図②)

⑤残った硬いパーチメントとシルバースキン、生豆は丸の呑みする (コーヒー断面図③④⑤)

⑥胃まで運ばれる

⑦胃では硬いパーチメントと、薄いシルバースキンに覆われた生豆は分解できない

(コーヒー断面図③④⑤)

⑧そのまま腸へ運ばれる

⑨腸では消化酵素の働きと腸内細菌の発酵により栄養分は消化吸収される

⑩最後まで消化できなかった硬いパーチメントと薄いシルバースキンに覆われた生豆は、
原形を留めたままフンとなって排出される
(コーヒー断面図③④⑤)

こうしてジャコウネコの腸を通った未消化のコーヒー豆は、
「消化酵素」や「腸内細菌」の作用で苦みが取れる上に、
香りが増し完熟したコーヒー豆となり、
飲むと独特な風味と味わいがあると言われています。

次にどのようにして、
フンとして出てきた未消化のコーヒー豆を精製し、
人が飲める状態のコーヒーになるのか、
その流れも説明していきます。

 

4-3. コーヒー豆とフンは直接触れているのか?いないのか?

ジャコウネコのフンとして出てくるので、
「うんちコーヒー」などと呼ばれる事もあります。

しかし、実際は、
『4-2. 口から入ったコーヒー豆がフンとして出てくるまで』の
①~⑩までの流れでわかる通り、
コーヒー豆とフンは直接接触していないのです。

なぜならば、
ジャコウネコからフンとして排出されるコーヒー豆は、
その外側を硬いパーチメントと薄いシルバースキンの
2層に覆われた状態で排出されるからです。

つまり、フンと直接接触しているのは、
コーヒー豆を覆っているパーチメントになります。

では今度は、
パーチメントに覆われた状態で排出されたコーヒー豆を
精製するまでの流れを見ていきましょう。

 

4-4. フンとして排出されたコーヒー豆を精製するまでの流れ

①フンとして排出された硬いパーチメントで覆われた未消化のコーヒー豆を採取する

②それを完全にきれいになるまで洗浄する

③脱穀機でパーチメントとコーヒー豆を分離する

④コーヒー豆だけを取り出して集め精製完了

 

 

 

5. おいしいルアックコーヒーの作り方&飲み方

ルアックコーヒーの作り方と飲み方を
本場インドネシア流で紹介します。

【ステップ1】
まず、コル・ピアク(コーヒー豆)を超極細で挽きパウダー状にします。
(注意: 中細挽きにしてしまうと後でお湯を注いだ時、表面に浮いたまま、なかなか沈殿していきません。)

【ステップ2 】
ティースプーンで2~3杯分をコーヒーカップへ直接入れます。
(注意:ペーパーフィルターを使うと根詰まりする場合があります。)

【ステップ3 】
コーヒーカップへ直接、お湯を注ぎます。
(ポイント:シュガー、ミルクを入れたい場合はお湯を注いだ後、お好みで入れます。)

【ステップ4 】
ティースプーンでかき混ぜ、しばらく待ちます。

【ステップ5 】
表面に浮いていたコーヒーの粉末が完全に沈殿した事を確認し、
ゆっくり上澄みを飲んで楽しみます。

 

 

 

6.ルアックコーヒーの値段

かつては幻のコーヒーと言われ希少価値が高かったルアックコーヒーも、
今では商業化されジャコウネコを養殖しながら
コーヒー豆の採取が行われるようになりました。

しかし、野生のジャコウネコから取れる、
天然のコル・ピアク(コーヒー豆)はやはり今でも希少価値があり、
最高級のコーヒーとして扱われています。

それではその値段とはいくら位なのでしょう?

日本の珈琲店で飲んだ場合、
お店にもよりますが大体1杯が5,000円~8,000円のようです。

また、現在ではインターネットでも流通販売しています。

値段はさまざまのようですが、
大体100gのコーヒー豆で6000円前後が多いようです。
(2016年度現在の調べ)

 

 

7. まとめ

野生のジャコウネコ・コーヒーはその製造法に希少価値があるため、
高級コーヒーとして、取り扱われていますが、
飲んだ後の感想は二手に分かれるようです。

実際に、インドネシア現地のおみやげとしてもらった方の中には、
「結構香りがフルーティーで、しかもコクがありました。」
といった感想を持った方もいれば、
逆に現地のコーヒー愛好家サークルの人達ですら
「あまり他との違いが分からない」 という感想を持った方もいるようです。

また、こういった動物のフンから
未消化コーヒー豆を採取して作る特殊なコーヒーは、
ジャコウネコの他に、タイではゾウのフンから採取して作るゾウコーヒーもあり、
やはり高級コーヒーとして扱われています。

ただし、現在では、
ジャコウネコやゾウコーヒーも偽物が出回っているため、
購入する際は注意が必要です。

信頼できる人から入手したり、
信頼できるコーヒー店を見つけたりして
飲むのが良いでしょう。

 

 

 


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